高橋みさとさんは、地元平間地区を中心に、PTAや町会役員、川崎市通級親の会など、様々な地域の活動に参加してきました。そして、川崎市の教育改革推進会議委員や教育委員を務めた後、川崎市議会への挑戦を決意されました。
教育委員の任期中に今の社会の在り方に強い疑問を持ち、任期終了後、子ども達に明るい未来をつなぐために政治の道を志すことにしたといいます。
そんな高橋みさとさんに、市政挑戦のきっかけや子育て・教育委員・地域の活動の経験を通して考えられた政策についてお聞きしました。
「政治の世界に挑戦する」運命だった
ー政治の世界に挑戦するきっかけと市政への思いについて教えていただけますか?
高橋 みさとさん(以下、高橋さん):
教育委員の在任中、子どもを置き去りにしたコロナ対策をはじめとする、子どもや子育てを大切にしない今の政治の在り方にとても胸を痛めてきました。拡大する家庭の経済格差がそのまま子ども達の教育格差にもつながっています。「今だけ」「金だけ」「自分だけ」が進むこのままの政治・社会を子ども達に残すわけにはいきません。誰かがやってくれるのを待っているのでは、もう間に合わないんです。
ちょうど、政治の世界に挑戦するための様々な条件もそろっていました。「政治の世界に挑戦する」運命なんだと思いました。
川崎市は少子化が急速に進む日本の中でも、子どもの数が増えているとても貴重なまちです。教育環境や子育て支援策をしっかり充実させて、川崎から少子化を止めたい、明るい未来をつないでいきたい、という思いがあります。また、PTA・町会といった地域での活動を通じて向き合ってきた地域課題を解決していきたいと思っています。
子育ての痛みを知り尽くしたからこそできることがある。市政とみんなをつなぐ架け橋になりたい。
ー高橋さんが3人の子育てをされましたが、川崎市の子育て環境についてどのようにお考えですか?
高橋さん:私は山梨県の甲府市で育ちましたが「子どもは騒がしくて当たり前」「子どもは社会全体で育てるもの」という環境で、地域の子どもを見守る目は非常に温かいものでした。 川崎では、中学校区毎に「地域教育会議」や子ども文化センターがあったりと、「地域で子どもを見守って育てよう」という取り組みは盛んな方だと思います。しかし、最近は子育ての厳しさを感じる場面が多いのではないでしょうか。実際に、コロナ禍で学校が休校になった際に、子ども達の声がうるさい、という苦情が学校に入ったということも耳にしました。
子育ての痛みを知る人間が政策に関わらなければいけないと強く感じています。
具体的な子育て支援策として、子育て支援の所得制限の撤廃、保育士などの待遇の改善及び保育の質の確保・充実、学齢期以降の保護者の心理的サポートの充実を提言致します。
ー川崎市教育委員会の活動を通じて感じたことなどはありますか?
高橋さん:縁あって4年間川崎市の教育委員会で活動してきましたが、教育政策が充分に伝わっていないと感じることが多々ありました。これは、他の市政の政策にも共通することではないでしょうか。例えば、コロナ禍で実施された「じもと応援券」は、第一弾は私の周りでも利用者が多くありませんでした。
30〜50代のいわゆる現役世代は、仕事や子育てが忙しいうえに、福祉サービスを直接受ける機会が少なく、市制とのつながりを感じづらい現状があるのではないでしょうか。
川崎市は人口150万人の大都市で、南北に長い地形で政策も多岐に渡るため、現役世代に限らず、市政を全て把握するのは大変です。
そこで、市の課題や政策を分かりやすく伝えると共に子どもから大人まで幅広い世代の声を行政に届ける「市政とみんなをつなぐ架け橋」になることを決意しました。
子どもから大人まで困った時は「助けて」と声をあげられる「優しい川崎」を目指して
ー最後に川崎市政で実現したいことはありますか?
高橋さん:政治活動を始め、地域で活動していると、お一人暮らしの方がとても多いことに驚きました。
実は、昨年は何度も高齢者の方を保護しています。認知症の方が、早朝に徘徊されてご自宅がわからなくなったり、夜真っ暗な道で、帰り道がわからなくなった方などです。また、高齢のご両親を見送った後に、広いお宅でお一人で暮らしている、という方で、ご自宅のお手入れがままならなくなっているケースなども散見されます。
今の社会では「自己責任」が広まり、困ったことがあっても個人の努力が足りないと思い込み周囲に助けを求められない人が増えているように感じます。お一人暮らしの方がそういう傾向が強い気がします。
川崎は元々あたたかい人がたくさん住む街です。子どもから高齢者まで、困ったことがあれば気軽に「助けて」と声をあげられるまちづくりを進めたいです。
ー「優しい川崎」を実現するための具体的な政策などはありますか?
高橋さん:現在の行政サービスでは、困ったことが起こると自分でサービスを見つけなければいけません。
しかし、本当に困っている時は、心身ともに余裕がなく、膨大なサービスのなかから必要なサービスを探し出す時間を確保するのも難しいのではないでしょうか。
IT術を駆使して、行政が持っている様々な情報を連携させることで、市民に困りごとが起きそうなときに、その予兆を察知して、まるでネットショッピングのように、悩みにぴったり合った相談窓口や必要なサービスをおすすめしてくれる「おせっかい」なプッシュサービスを提案したいと考えています。
インタビューは、Vol.2に続きます。